「気軽に(笑)」から始め14年 尾鷲2万人都市で240人を雇用

特定非営利活動法人あいあい/理事長
湯浅しおり湯浅しおり(尾鷲市)

1967年生まれ、2児の母。2000年、16年続けた看護師から「気軽な気持ちで(笑)」介護職へ転職。尾鷲じゅうを営業に回り、勝手にチラシを作って配り、東京の本社を困惑させたという逸話も。

「面白いこと1回やってみたいよね」の精神で副理事を含めた少数のメンバーとNPO法人を立ち上げ、2001年に独立スタート。現在はスタッフ240名の規模に育てあげた。東日本大震災をきっかけに、津波避難ビルを兼ねた7階建ての介護・障害者支援施設を2013年に建設。

公式HP http://www.za.ztv.ne.jp/eye2/
facebook https://www.facebook.com/eye2.kuronbo
尾鷲市 http://www.city.owase.lg.jp/


Message

第1回目のインタビューに私が訪れたのは、2万人都市・尾鷲市で240人もの雇用を創出している介護・養護施設経営者の湯浅さん。これまで講演会や交流会など、さまざまな場所で彼女のお話を伺いました。仕事柄、私は色んな起業家さんを見てきましたが、湯浅さんのようなタイプは初めて。明るくて、パワフルで、裏表が全くないのが前面に出てる! そう、嘘のように全く飾らない方(笑)。子どもにも伝わる単純明快な言葉で、誰彼問わず自身の心を真っ直ぐに届けます。一方で、人に対する優しい目線もお持ちの方で、インタビュー中も、暑くないか、寒くないか、陽が差し込んできたから少し奥に入ろうかと、小さな気遣いをたくさんいただきました。豪快な言葉と、その裏に潜む「女性ならでは!」の心配りを、このインタビューから感じていただけると嬉しいです。


 

INTERVIEW<1>

 

pt05

川北 今日はお時間をいただき、どうもありがとうございます。突然にお邪魔しまして。

湯浅 えーっと… 日々を過ごすのに精一杯で、実は今日何をするのかよく分かっていないという(笑)。

川北 湯浅さんは各地の講演会などに呼ばれて、色々とお話をされてるじゃないですか。でも三重県の北勢の人にはどうも浸透してなくて、「尾鷲に凄い人がおんねやで!」と私が言うと、大抵驚かれるんです。だから、湯浅さんという存在を多くの方に知ってもらいたくてインタビューにお邪魔しました。

湯浅 介護保険事業は閉じられた世界だからね、知らない人が多くて当然。誰が私を知ってくれているかとか、全然意識していないですね。私が気にしているのは、とにかく「毎日楽しんでるか?」って事だけ。私にとっては毎日がクリスマス(笑)、「生きてる毎日がおめでとう!」と。そう生きたいなって思ってます。

川北 毎日がクリスマス?素敵です(笑)。

湯浅 何があっても「あぁ、今日も良い1日だった」となるように仕上げる。そういうプラス思考に持っていきたいよね。そんな私を見て、周りの人は「真似できない」って呆れてる(笑)。だけど、どうせ生きるなら全ての出来事をチャンスにしなきゃ。嫌な事があったら「これは何を教えてくれているのかな?」ってワクワクする、そう考えるようにしています。

川北 そんなポジティブ思考は、元々持って生まれたものなんですか?

湯浅 生い立ちも関係して、強さっていうのは元々あったんだと思う。神奈川で生まれて、小学5年生の時に母の故郷・尾鷲に引っ越して、そこで関東言葉をからかわれて。泣いて母に訴えたら「強くなれ!」って逆に怒られ(笑)。

 それから日は経ち、名古屋の看護学校に入学して寮暮らしになった頃には、私が友達を怒ってました「もうちょっとプライド持ちなよ!」って。皆から「あんたのように強くなれない」って言われるわけ。その時は「えー、私だって弱いのに」って思ってたけど、30歳過ぎて気づいたね「あぁ……、私強いなぁ!」と(笑)。

川北 スタッフさんに対してはどうですか? みなさんが同じようにポジティブ思考とは限りませんよね。

湯浅 ネガティブな人はいますよね。そんなタイプ同士をくっつけさせない、「あ〜! そこの2人、ダメダメ! マイナス思考とマイナス思考がセットになって、ピンチ〜!(笑)」とか言って引き離します。

川北 ネガティブ思考の方は、その自覚があるんですか?

湯浅 あるある! 「わ〜ネガティブ、気持ち悪い〜!」って私が言ってるし(笑)。「なんで今の考え方の反対を考えないの? 私だったらこう考えようとする」って話はします。「こう考えたら楽じゃない?」って話をしているうちに、相手がどうでも良くなってくるみたい。「あぁ、大した事じゃないな」って。


 インタビューの場所は、湯浅さんが2014年にオープンさせた、三重県初となる社会的事業所『ゆかいな仲間たち』。障害を持つ方と雇用関係を結び、喫茶や食事(うどん)を提供しています。場所は、2013年に開業した7階建て介護・養護複合ビル『あいあいの丘』の目と鼻の先。この他にもショートステイ・グループホームなど複数の施設を管理運営しておられます。


 

川北 この度オープンするホームページが「三重の女性起業家.com」ということで、起業についてのお話も聞かせてください。

 湯浅 pt01起業した意識はないんだけどね。だってまだ従業員さんに利益を与えられていないから…。NPO法人っていうのは、なかなか利益が上がりにくいのと、福祉の仕事は赤字でもしなきゃいけない。別事業の黒字で赤字を補うやり方をしていると、いつまでたってもお金が貯まらず、借金も返せていないのにまた借金しちゃって。

 うちの従業員は「ボーナス出せ〜!」って運動してるけどね、「知らねぇよ!」って返してる(笑)。ちょっと余裕がある時は給料にプラスして、「今年はボーナス出たやろ?」って言うと若いスタッフに「あれは寸志!」って返されて。「あっそ。ゴメン」つって。「借金が一つ一つ終わっていくから、そうすればアンタ達に絶対利益がいくようになる。だから信じてもう少し辛抱して欲しい」ってスタッフには言ってます。私のプライドは『絶対に人に利益を与える』ってことだから。それが一番の楽しみ。

川北 女性で起業する人はいても、人を雇用して、そしてその人たちに利益を…って人は、実は少ないようなんですが…。

 湯浅 あんまり起業が分かっていない。会社を持つという事の意味が分かってないかもしれない。

湯浅しおり様インタビュー
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